アマゾンの森林破壊
ブラジルのトランプと呼ばれるボルソナーロ氏が次期大統領に選出され、アマゾンの危機を憂う声が世界中に広がっています。
大規模工業型の農場主達がボルソナーロの家を訪れる様子がテレビで流れていました。彼は、先住民保護区の見直し、農業省と環境省の合併による経済追求型農業強化、道路網の拡大などを公言しています。
アマゾンにおける森林伐採の大きな要因は下記です。 ・違法伐採 ・大規模工業型農業 ・大規模牧場開発
そしてこれらを誘発するのが、道路建設です。
2014年のデータでは、トカンチス州やマラニョン州では、すでに熱帯雨林の70%以上が消失しており、 広大な牧場や大豆畑が広がるパラー州やマットグロッソ州では、各23%、40%の熱帯雨林が失われています。 一方、ブラジル最大の森林面積を有するアマゾナス州の消失、アクセスの悪さもあり2% に抑えられていて、最後のフロンティアと考えられていました。
しかし近年、アマゾナス州にも森林消失の波がすごいスピードで押し寄せてきております。2016-2017年の森林消失においては、アマゾナス州が最大増加率を記録しました。
マニコレから少し南にいったところに、アプイという町があります。BR-230という道路が出来たことで、木材や土地を求める人たちが侵入し始めました。まずは木材業者が入り込み、木材を取り尽くすと焼いて牧畜業者に違法に売るのです。アプイの森林消失はこの10年で一気に進みました。
マニコレ経由アプイ行きの飛行機には、高級ブランドのカバンを持った人達をたくさん見かけます。
その波はマニコレにも波及してきており、2017年マニコレは政府により森林消失高リスク地域として、全国39箇所にあるモニタリング強化地域となりました。
※写真はこの地域における樹冠消失の変異を示しています。(2010年、2017年の比較)ピンク部分が樹冠が失われた部分です。
アマゾン地域の気候は、この数年これまでと異なる傾向を見せています。2014年に大水害が起こったと思えば、2016年、2017年には大干ばつがありました。年配の人たちは「昔はこんなに暑くなく、川の水位もこんなに下がらなかった」と言います。干ばつが起これば、農作物の生存のため焼畑面責も増えます。
ブラジルの農業生産は確かに、数字上のブラジル経済を押し上げています。が、牧畜や大豆の生産で経済が潤うのは、外部から入ってきて土地を買い占めたオーナー達のみです。元々の住民達にその恩恵はなく、むしろ長期的に被害を被るのは彼らです。「誰にための」経済なのか。その経済はいつまで続くのか。
マニコレには、さらに急増するガリンペイロの問題があります。(これはまた次回紹介します。)
ずっと森を守ってきた人々が、環境と経済を両立させて暮らしていくために私たちができること。 アマゾンの自然と人々の価値を日本の人に伝えながら、とても微力ではあるけれど、彼らに負けて歩みを止めたくないと感じております。
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