「農家が主役」の発酵
カカオシーズンに入り、現地では発酵作業が進んでいます!
ここで私たちの発酵に対するスタンスを少し紹介します。
カカオが美味しいチョコレートの原料となるには、さらに「選別して収穫」→「ポッドを割って中身を取り出す」→「発酵」→「乾燥」と多くのプロセスがあります。
一つ一つのプロセスに、気をつけなければいけない事が多くあり、カカオにじっくり向き合わなければいけません。
シンプルに聞こえますが、実際やってみると、1つ1つの作業は結構な重労働で、手間がかかります。
大変ありがたい事に、私たちのカカオの需要は年々高まっており、初めて日本に輸出した2年前の5倍以上の生産を行っており、新しくカカオを育て、発酵を覚えたいと手を挙げる農家も増えてきました。
Bean to barに使われるような高品質カカオの世界では、農家からWET CACAO(カカオポッドを割って、果肉のついたカカオ豆を取り出したもの)を買い取り、それらを混ぜ合わせて、設備の整った発酵施設でまとめて発酵することが大半です。
一方、私たちは各農家にて発酵まで行ってもらっています。
ロジの問題もありますが、一番には、付加価値化のプロセスでも農家さん達が主役になって欲しいという思いがあります。もちろん、発酵済みかカカオはWET CACAOの倍ほどの値段で買い取ります。
手間のかかるプロセスではありますが、「自分の作品」としてカカオと向き合ううちに、農家さん達が私たちも気づかなかったようなことを発見し、自ら工夫するようになります。一度視野が広がった農家さんは、カカオ以外の作物でも応用しようとします。
各農家で発酵を行うことは、味の均一性においては非常に不利になることも承知しております。
それでも、私たちはその意識の変化こそが財産であると考えており、やる気のある農家さん達にはどんどん「主役」になっていってもらいたいと考えています。
農業はもともと、自然と共にあるもので、自然と共に変化するものです。
農作物の「工業化」がアマゾンの森を破壊していった背景を考えると、森林生態系と共存し、世界一を誇る生 態系にくらす膨大な微生物たちがうまみを醸し出すカカオの一期一会のテイストは、均一ではないかもしれないけど、価値のあるもだと思うのです。
従来のシステムでは「弱み」であったこの自然のゆらぎが「強み」となった時、食と環境保全の関係は大きく変わるのではないか、という期待を込めて、この無茶なチャレンジを続けていきます!
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